FISH FOOD

イワシ料理

sardines

昔の庶民の味方、今は高級魚

私が小さかったころ、イワシは「庶民的なさかな」というような感じだったと思います。鮮魚が豊富なことで自慢の地元で、父も魚が大好きだったので、小さいころからよく魚類は食卓に上がっていたほうだと思いますが、子供のころは、イワシ料理が出てくると、兄弟と一緒になって「うわー、今夜の晩御飯はハズレか~」とか失礼なことを言って、母が起こっていたことを思い出します。子供にとっては、骨を取るのが面倒だし、とってもとっても(今となっては気にもならない)小骨は残るし・・・。どう考えても、「やったー!このおかずでうれしい」という評価ではありませんでした。この魚のおいしさがわかってなかったんですね。

大人になってから、特に自分でお金を払ってお寿司やお刺身を食べるようになってから、イワシのおいしさに気づくことができました。梅干しを入れて煮魚にするのも大好きです。

でも、イワシって決して「安くない」気がします。今やアジ、サバのほうが庶民的に感じます。理由を検索していたら、こんな記事を見つけました。気候変動によるものと考えられる収穫量の変化で、私が子供のころと比べて、絶対数が少なくなっているんですね。この記事では、「乱獲が原因」というよりは、気候変動、という説でした。なるほどなぁ。

『魚』へんに『弱』

漢字で書くと「鰯」ですが、さばいてみるとほんとによく表してるなぁと思います。皮が薄く、肉質も柔らかいのでちょっと力を入れるとつぶれてしまいそうです。一番硬い背骨すら頼りなく、子供のころ嫌いだった無数にある小骨は「この弱い骨は役に立っているのだろうか?」と思ってしまいます。

酢漬けにするときなどは、頭だけ落としたらあとは指でおなかを開いて内臓をだし、骨まで指でつまんでとっちゃう「手開き」ができてしまう、とても繊細なつくりで、水族館で群れになって泳いでいる姿を思い浮かべて、「なるほどなぁ・・」と思ってしまいます。イワシの群れって、壮大な海の舞台演出、って感じがするのですが、それを構成する1匹1匹が、こんなに繊細で弱弱しい魚なのかと思うと、感慨深いです。

お刺身と天ぷらに

1匹をお刺身に、1匹をたたいて明太子とあえて「イワシ明太なめろう風」に、そして、残りの3匹を、それぞれ「梅しそ巻き」、「明太しそ巻き」、「チーズしそ巻き」で天ぷらにしていただきました。

お刺身は、口に入れるととろける感じがし、噛むと口に広がるうま味。大葉に巻いて食べると、大葉のざらっとした舌ざわりの中からしょうゆとイワシの脂身が出てきて、さっぱりする大葉の香りとともに楽しめます。イワシ明太なめろう風は、明太子の塩味と辛さを生かして、しょうがと馬刺しのたれを少しだけ合わせてみました。

そして、天ぷらは、大葉や梅肉、明太子、チーズを巻いてロール状にしたものを串にさしてあげました。生で食べる時よりも、もっと身の柔らかさを感じ、あっつあつの身の中から違う味が出てくるのを楽しみました。天つゆにつけてもおいしいし、何もつけずにそのまま食べると、サクサクな触感を楽しめました。